犬と狼の間

え?遊んで食べて寝てちゃだめ?

ミュージカル『太平洋序曲』感想

海宝さんご出演のミュージカルを観てきました。

あらすじ

海に浮かぶ島国ニッポン。 黒船に乗ったペリーがアメリカから来航。 鎖国破りの罪で捕らえられたジョン万次郎(ウエンツ瑛士・立石俊樹)を派遣し、上陸を阻止すべく交渉を始める。 一度は危機を切り抜けるものの、続いて諸外国の提督が列を成して開国を迫りくる。
<上記公式HPより引用>


この日のキャストはこちら

初演は1976年のブロードウェイ。つまり海外のクリエイターが幕末~開国の日本を題材にして作ったミュージカルである。…というわけで、それはそうではあるんだけど、全てにおいて“”なんちゃってジャパニーズ“”感がすごくてその内容を日本人のキャストが演じて日本人の私たちが観ていることになんだか居心地が悪かった。わざとそうしていると思うのでその違和感を楽しむのが正解なんだろうけど私は気持ち悪くなってしまって駄目だった。

おそらく日本が鎖国していたことも、外国の言いなりになったことも、そんな日本を脅すように開国させた米国のことも全てを皮肉りたいのかなという内容だったが、心情表現でドラマティックにするわけでもなく淡白に進んでいくうえに、史実を学ぶ舞台かといえばそうでもなく、かなり大胆にフィクションなので結局この作品は何が言いたいのだろうという感想に。ラストシーンは高度経済成長期に突入した日本人が「NEXT!」と歌い締めくくられるのだが、1976年だったら確かに「日本はどんどん進歩していき未来は明るいな!」となったのかもしれないが2023年現在に観せられても…。

ストーリーを淡白に感じたのは一幕ものにカットしていたからかもしれませんが、全体を通して日本人向きの作品じゃないのでは?と思いました。ブラックジョークというか、皮肉っていることを俯瞰で観られないのは駄目かもしれないが気持ちのいいものではなかったな~。鎖国中たいした進歩もせず米食って生きていたって別にええやろ!!
外国の方が観たら面白いのかな。異国から見た日本はこうなんだという感覚が得られた点は面白かった。

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キャスティングを見たときからわかっていたことだけどキャストの歌唱力は文句のつけどころもなく素晴らしかった!特に三人の海兵が日本人女性を襲おうとするシーンは美しいハーモニーと旋律で「僕に温もりを」と歌われるのだが、美しい音楽と描かれていることのギャップがものすごく不気味だった。ミスサイゴンでも感じたがことだがこういう演出効果がミュージカルの醍醐味だよなと思う。
難曲揃いのソンドハイムを皆さん歌いこなしていて素晴らしかったのですが、そう、私はソンドハイムの曲ってなんか意識飛んじゃうんですよね~。多分音楽的な素養が無いからなんだけど。ジャニーズトンチキソングとかが大好きだし。

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というわけで、全体の感想としては、セットも曲もキャストの技量もハイクオリティなものを観せられているが、好きになれないでした。
一回しか観ていないので、もっと通わないと解らない演目なのかな。もちろんキャストの皆さんは大変素晴らしかったです。