ミュージカル『グリース』を観てきたので感想。
総評すると、ストーリーの大半は「高校生ってこんなものだよなあ」であり、何かを深く考察したり感動したりするようなものではなかったのだけど、その分意識を歌とダンスを楽しむということに全振りできた。エンターテインメントって楽しい!と心からスタンディングオベーションできた作品でした。
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舞台は50年代のアメリカ。サマー・バケーションで知り合ったダニーとサンディは恋に落ちる。
二人の恋はひと夏で終わった・・・はずが父の転勤でダニーと同じ高校に転校してきたサンディは突然の再会を果たす。喜ぶサンディだったが、ダニーの様子がおかしい。グリースでばっちり固めたリーゼントに革ジャン・・・実はダニーは高校を牛耳る“T−Birds”と言う不良グループのリーダーだったのだ。一方ダニーも、自分がキャラに似合わない品行方正な優等生と恋に落ちたことを仲間に隠すためにサンディのことを知らないふりをする。そのことにサンディはひどく傷つくのだった。そんなサンディに女子の不良グループ“Pink Ladies”から誘いの声がかかるー。
結局優等生のサンディが不良になることで大団円を迎えるというストーリー展開は正直、えっそうなるの!?と思ったし現代が舞台だったらもはや企画段階で通らないんじゃないかとすら思うが、1950年代のアメリカが舞台であることを前提として、まあ、サンディは心の奥底で不良に憧れてる系優等生だったんだなあ…と思うとなんとか腑に落ちた。それよりも個人的にはリッゾの妊娠疑惑のエピソードの方が気になった。勘違いだったらそれでハッピーなのか?きっとサンディとリッゾが仲良くなるというためのエピソードなのだろうと思ったけど、処理が雑すぎてなぜあれで心が通じ合うのかも伝わらなかったな…
全体的にエピソードのまとめの処理が雑で投げやりにまとめたような印象を感じるが、映画版*1の批評を見ると同じような意見の批評が多いので、今回の演出どうこうではなくこの作品自体がやはりストーリーを深く味わうというよりもキャッチーな音楽を楽しむという方に重きが置かれている作品なのだろうと思う。
というわけでストーリーに対する感想はとくにないのだけど、役者の熱量とパフォーマンスは素晴らしかった。
ダンスナンバーはお互いに「自分はここまでできるぞ!」と見せ合い高め合っているように感じられて熱かった!なんとなく全体を通して『協調』というよりは『競争』*2という感じがするカンパニーだなあ~と感じたのだけど、若く才能のある役者たちが自分の武器を全力で奮いながら切磋琢磨している様は観ていてなんとも爽やかだしすごくいいな。もちろん若い方がいい!というわけではない*3のだけど、今作はそれがよく作品とマッチしていてストーリーだけなぞると惚れた腫れたの下ネタだの…というだけの話がなんとか若さゆえのイタさや熱さを感じさせるものになっていたと思う。
あと、ミュージカルって何気にあまり踊らない気がするので*4ここまでしっかりとダンスができるのは役者さんたちも楽しいんじゃないかな~と思ったしファンの方は嬉しいだろうなとも思った。普通に羨ましい!私のお目当てはゲスト枠(?)だった上口さんなのだけど、上口さんはものすごく踊れる方なので上口さんのダンスも見たかった~~という気持ちに包まれたのでした。
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シアタークリエ、ものすごく久しぶりだった気がする。頭が痛くなるイメージがあって苦手だったんだけど今回は平気でした。席によるのかもしれない…。