犬と狼の間

え?遊んで食べて寝てちゃだめ?

ミュージカル『マタ・ハリ』感想

ちょっと前になりますがミュージカル『マタ・ハリ』を観てきました。
ジャンクションから先行の案内がきて、そういえば初演時に気になっていたものの観に行けていなかったなと思い出し軽い気持ちで申し込んだところ、新たな贔屓に出会ってしまったのだった…。
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www.umegei.com


観劇した日のキャストはこちら。

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※後日配信で愛希マタ×東アルマン×田代ラドゥー回も観ました。

 第一次世界大戦時にスパイ容疑にかけられフランスで処刑された実在した女性マタ・ハリ。現在女スパイの代名詞となっている彼女と、彼女に恋した二人の男の物語…ではあるが(恋した二人の男と言っても、恋愛できているのはアルマンのみでラドゥーは相手にもされていないのだけど…)マタとアルマンの恋が主軸の一つではあるものの恋愛に重きを置いた物語ではないように感じた。
例えばラドゥーはマタに屈折した執着を抱くが「フランス軍のため」の選択をしていくし、マタに惚れ込んでいるドイツ将校も彼女がスパイかもしれないと感じると容赦はしない。そしてマタはアルマンと出会い惹かれあうが、危険を承知でアルマンに会いに行くのは恋愛に心酔しているからだというよりもそれが彼女の生き方であるからだと感じられた。
みんなが国のため、戦争のための行動している中で自分の信念のために行動していてるように見えるマタは輝きが際立ち、人々が彼女に夢中になる理由がわかる気がする。

 また、音楽がとても魅力的でなるほどこれが噂のワイルドホーン!と思った。
私は音楽的素養がマイナスなのでなんとなく好きか嫌いかでしか判断できないのだけど、耳に残ってとても好きだったな。CD出ないかな~。


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 現地と配信でダブルキャストの違いを楽しめたのも面白かった。柚希マタは成熟した色気と圧倒的なオーラで「世界大戦時に自由に各国を行き来できるほどの大女優」であることの説得力が物凄かったし、対して愛希マタは大女優というにはまだ若くて可憐に見えるものの、アルマンとの恋に落ちることが自然に感じられてよかった。

アルマンもりょんさんととんちゃんでは受ける印象が大きく変わったな。三浦アルマンは触れると危うげな魅力を感じたが、東アルマンはむしろ人懐っこさを感じた。

 そしてラドゥー大佐ですよ。何を隠そう私の観終わった直後の感想は「ラドゥー…恋…」だったし、配信を買ったのだってもう一度ラドゥーにメロりたかったからなのだが、配信後のトークで万里生さんが「人生でこんなに気持ち悪いと言われたのは初めてでした」と笑っていて衝撃を受けたのだった…。
確かに執拗にマタの匂いを嗅いだり迫ったりするところは普通なら気持ち悪いと思うと思うのですが、万里生さんのビジュアルの品の良さと溢れ出る高貴オーラであまり気にしてなかった(笑)

和樹ラドゥーを観れていないので比較はできないのだけど、田代ラドゥーには根底に「この人は多数の安寧のために少数を捨てる選択をしているだけで本当は真面目ないい人なんだろうな」という感があり、そんな人が戦争により悩み歪んで一方的にマタに執着するという様子になんだか色気を感じたのだった。「悩み苦しんで堕ちていく哀れな男」好きなんだよな~。

彼は家族よりも、ともすれば自分よりも大切なのは「大佐としてすべき選択」なのであって、もしもマタが振り向いていたらラドゥーはマタを守ったのかといえばそうではないだろうなとも思ったし、そういうところがマタに相手にもされない理由だろうなと思った。ああ可哀想なラドゥー…。戦争が終わったら奥さんを大事にして幸せに生きてね……。

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というわけで万里生さんという新たな贔屓にも出会えて楽しい観劇でした。こういう一期一会があるから軽率な観劇はやめられないね。メリリーではサボってしまったんだけどやはりちゃんと感想を書くと「観た!!」という実感を得られるので物語に対する感想はなるべく残すようにしようと思った。

あと、Twitterでブリリアホールの悪口を死ぬほど見たけれど私は特に不満はなかったです。後ろの方だと音響悪いのかな。